10月19日[土]公開『熱帯魚 デジタルリストア版』

熱帯魚 デジタルリストア版公式サイト

台湾青春映画だけが持つ、みずみずしさとイノセンスの源泉がここにある。

エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンやツァイ・ミンリャンらのいわゆる“台湾ニューシネマ”の系譜から、突如出現した異端の新人チェン・ユーシュンが、1995年に発表した処女作『熱帯魚』。先達たちのアーティスティックな影響はそこかしこに感じさせつつ、先読みできないストーリーと、これまでにない軽やかさが印象的な、一度観たら忘れられない作品。苛烈な受験戦争、競争社会、そして都会の喧騒に押しつぶされそうな、ささやかな夢見る心を、ポップでオフビートなリズム感、土着的なユーモアとその裏に見え隠れするやさしいまなざしで描き、若い世代から圧倒的な支持を得たチェン・ユーシュン。しかし次作、恋愛映画『ラブ ゴーゴー』(97)と本作、たった2作品のみを残して、彼はその後長い沈黙に入ってしまう――まるでやりたいことは全てやりつくしてしまったかのように。もちろん、その間も作品の輝きは色褪せることなく、その後の台湾映画に強い影響を与え続けた。『藍色夏恋』(02)や『あの頃、君を追いかけた』(11)など、青春恋愛映画の傑作群に流れるみずみずしさとイノセンスの源泉が、まさにここにある。
受験戦争にまったくなじめない夢見がちな台北のボンクラ少年。そんな少年をなりゆきで誘拐してしまった、超田舎な一家の、これまた一風変わった面々。誘拐報道がヒートアップする台北がまるで別世界のように、少年は連れ去られた南部の漁村で、白日夢のような不思議な時間を過ごし、そして謎めいた少女と遭遇する。はたして彼は、無事に(?)台北へ戻り、そして高校受験に間に合うことができるのだろうか―。

★第48回ロカルノ国際映画祭青豹賞・国際批評家連盟賞★
★第32回金馬奨最優秀脚本賞・最優秀助演女優賞★
★1995年モンペリエ映画祭 ゴールデンパンダ賞★
監督・脚本:チェン・ユーシュン
主演:リン・ジャーホン、シー・チンルン、リン・チェンシェン、ウェン・イン
1995/台湾/108分