1月23日[土]公開 『アイヌモシリ』

AINU MOSIR アイヌモシリ公式サイト

ちかくてとおい、ぼくが住む町のお話

長編デビュー作『リベリアの白い血』で、ニューヨークに渡るアフリカの移民の苦悩を描き、国内外で高く評価された新鋭・福永壮志監督が5年をかけて作り上げた2作目となる今作は、自身が生まれ育った北海道を舞台に、阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して、現代のアイヌ民族のリアルな姿を瑞々しく映し出している。ニューヨーク・トライベッカ映画祭のインターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門にて長編日本映画史上初の審査員特別賞を受賞し、審査員である映画監督のダニー・ボイルや俳優のウィリアム・ハートらに絶賛された。
本作にて初主演を果たしたのはアイヌの血を引く新星・下倉幹人。演技は初めてとなるが、力強い眼差しが印象的な主人公・カントを演じ、アイデンティティーにゆれる等身大の役どころに挑戦した。その他主要キャストもアイヌが務め、カントの父の友人デボに扮するのは、阿寒に暮らし多岐にわたる活躍をみせる秋辺デボ。アイヌの伝統を重んじるデボ役を体現している。カントを優しく見守る母のエミ役は下倉幹人の実の母親でミュージシャンの下倉絵美が担当した。三浦透子、リリー・フランキーら実力派がゲスト出演し、作品に重厚感をもたらせている。
14歳のカントは、アイヌ民芸品店を営む母親のエミと北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで暮らしていた。アイヌ文化に触れながら育ってきたカントだったが、一年前の父親の死をきっかけにアイヌの活動に参加しなくなる。アイヌ文化と距離を置く一方で、カントは友人達と始めたバンドの練習に没頭し、翌年の中学校卒業後は高校進学のため故郷を離れることを予定していた。亡き父親の友人で、アイヌコタンの中心的存在であるデボは、カントを自給自足のキャンプに連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教え込もうとする。少しずつ理解を示すカントを見て喜ぶデボは、密かに育てていた子熊の世話をカントに任せる。世話をするうちに子熊への愛着を深めていくカント。しかし、デボは長年行われていない熊送りの儀式、イオマンテの復活のために子熊を飼育していた。

監督・脚本:福永壮志
出演:下倉幹人、秋辺デボ、下倉絵美、三浦透子、リリー・フランキー
2020年/日本・アメリカ・中国/84分