9月15日(金)~9月28日(木)
『シャンタル・アケルマン映画祭 2023』

2022年、イギリス映画協会が10年ごとに選出する「史上最高の映画」にて代表作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』が見事1位に輝いたシャンタル・アケルマン。日本でも昨年、同作を含んだ5作品が公開され多くの人に衝撃を与えたのは記憶に新しい。今回の上映は、瑞々しい処女短編からミュージカル・コメディ、自分自身と家族の思いを、あるいは時代の転換を映し取ったドキュメンタリー、断片的な言葉と静謐な映像で綴ったドラマなど、新たな5作品に『ジャンヌ・ディエルマン〜』を加えた6作品のラインナップ。そのいずれもが異なる貌を持つアケルマンの世界をご堪能ください。

【料金】通常料金

【上映スケジュール】※日替わりで上映

『街をぶっ飛ばせ』 ※『家からの手紙』と併映

Collections CINEMATEK - ©Chantal Akerman Foundation

当時18歳だったアケルマンが、ブリュッセル映画学校の卒業制作として初めて監督、主演を務めた記念すべき処女作。花束を手にアパートの階段を駆け上がったひとりの女。鼻歌を口ずさみながらパスタをつくって食べ、調理器具をばらまき、洗剤をまき散らし、マヨネーズを浴びる。狭いキッチンで縦横無尽に暴れ回った彼女の支離滅裂な行動は、驚くべき事態で幕を閉じる。その後の反逆的な作品群の原点とも言える破壊的なエネルギーに満ちた、あまりに瑞々しい短編。

監督・出演:シャンタル・アケルマン

1968年/ベルギー/12分

『家からの手紙』 ※『街をぶっ飛ばせ』と併映

Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman

路地、大通りを走る車、駅のホームで電車を待つ人々、地下道…… 1970年代ニューヨークの荒涼とした街並みに、母が綴った手紙を読むアケルマン自身の声がかぶさる。固定ショットやトラベリングで映し出される公共のロケーションと、時折車の音に掻き消されながらも朗読される、愛情溢れる言葉の融合。都会の寂しさと、遠く離れた家族の距離がエレガントな情感を持って横たわる、映画という〈手紙〉。

監督:シャンタル・アケルマン

1976年/ベルギー・フランス/85分

『一晩中』

Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman

ブリュッセルの暑い夜、眠りにつくことのできない人々。ある者は恋人の腕のなかに飛び込み、ある者は街に繰り出し、夫婦は語らい、そしてある者はバーでダンスを踊る……。官能的な熱を帯びた一晩の中で連結していく、数々の出会いや別れ。詩的な青色の夜を描き出す撮影監督の一人に、ジャック・リヴェット監督『北の橋』(81)、80年代のジャン=リュック・ゴダール監督作品、近年ではレオス・カラックス監督『アネット』(2021)を手掛けた名女性キャメラマン、カロリーヌ・シャンプティエ。

監督:シャンタル・アケルマン

出演:オーロール・クレマン、チェッキー・カリョ、ヴェロニク・シルヴェール、ヤン・デクレール

1982年/ベルギー・フランス/90分

『ゴールデン・エイティーズ』

© Jean Ber - Fonda&on Chantal Akerman

美容院やカフェが並ぶパリのカラフルなブティック街を舞台に、そこで働く従業員たち、客たちが恋模様を歌い上げるミュージカル。パステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物たちが歌い踊るロマンティックな浮遊感と、愛に対するアケルマンの容赦ない視線が巧みにバランスされている。シナリオにはフランソワ・トリュフォー監督作品に欠かせないジャン・グリュオー、アンドレ・テシネ監督『ブロンテ姉妹』(79)やジャック・リヴェット監督『美しき諍い女』(91)を手掛けたパスカル・ボニゼールと名脚本家が参加した。

監督:シャンタル・アケルマン

脚本:シャンタル・アケルマン、ジャン・グリュオー、レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビー ン、パスカル・ボニゼール

出演:デルフィーヌ・セイリグ、ミリアム・ボワイエ、ジャン・ベリー、リオ

1986年/ベルギー・フランス・スイス/96分

『東から』※日本語字幕無し

Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman

ポーランドやウクライナ、東ドイツといった、ソ連崩壊後の旧共産主義国の都市とそこで暮らす人々の姿をとらえたドキュメンタリー。ナレーションや場所の名前をも排して、アケルマンは時折市井の人々の家庭の様子を散りばめながら、果てしない距離や文化情勢、生活様式を記録した。洞窟のような駅のホーム、カメラを見つめる人々の表情、寒空……。透徹した眼差しがその場所で確かに流れる時間と観客を近づけ、好奇心を駆り立て、映像そのものが静かに語りはじめる。

監督:シャンタル・アケルマン

1993年/ベルギー・フランス/115分

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』

© Chantal Akerman Foundation

ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。ジャンヌを演じるのは『去年マリエンバートで』(61)、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(72)のデルフィーヌ・セイリグ。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン

出演:デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ

1975年/ベルギー/200分

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住所

〒380-0833
長野県長野市権堂町2255

アクセス

当館は権堂アーケード通り中央にあります。

★ 電車
・ 長野電鉄 「権堂駅」 にて下車 徒歩約3分
・ JR長野駅より徒歩15分

★ バス
JR長野駅より
・ 長電バス 「権堂入口」 にて下車。劇場まで徒歩3分
・ ぐるりん号 
・ 川中島バス (長野駅より、路線10・16・17を推奨)

★ 車
・ 須坂・長野東インター 車で約15分